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東京地方裁判所 昭和42年(特わ)563号 判決 1968年6月20日

本店所在地

東京都江東区亀戸町二丁目二四番地

東都化成株式会社

(右代表者代表取締役 手塚藤兵衛)

本籍

山梨県山梨市東四六八番地

住居

千葉県船橋市田喜野井町一、〇〇二番地

東都化成株式会社代表取締役

手塚藤兵衛

大正八年一二月一日生

右被告人らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官宮本喜光出席のうえ審理し、次のとおり判決する

主文

被告東都化成株式会社を罰金四〇〇万円に、被告人手塚藤兵衛を懲役四月に各処する。

但し、被告人手塚藤兵衛に対し、本裁判確定の日から二年間、右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告東都化成株式会社は、東京都江東区亀戸町二丁目二四番地に本店を、また同都江戸川区船堀二丁目一五番四号に事実上の本店事務所をそれぞれ設け、合成樹脂及びゴム原料による加工品の製造販売等を営業目的とする資本金三、二〇〇万円の株式会社であり、被告人手塚藤兵衛は、被告会社の代表取締役として業務全般を統轄していたものであるが、右会社の業務に関し、法人税を免れるため売上の一部を除外し、簿外預金を設定する等の方法により所得を秘匿したうえ、

第一、昭和三八年一二月一日より昭和三九年一一月三〇日までの事業年度において、被告会社の実際所得金額は別紙一修正貸借対照表(昭和三九年一一月三〇日現在の分)記載のとおり二、二五七万七、〇四三円でこれに対する法人税額は八二二万九、六六〇円であつたにもかかわらず、昭和四〇年一月三〇日、東京都江東区深川猿江町二丁目八番地所在の所轄江東東税務署において同署長に対し、所得金額は五八三万七、九八八円でこれに対する法人税額は一八七万五、五八〇円である旨内容虚偽の確定申告書を提出して、正規の法人税額と申告税額との差額六三五万四、〇八〇円については法定の納付期限に納付せず、もつて不正な行為により右同額の法人税を逋脱した。

第二、昭和三九年一二月一日より昭和四〇年一一月三〇日までの事業年度において、被告会社の実際所得金額は別紙二修正貸借対照表(昭和四〇年一一月三〇日現在の分)記載のとおり二、五四五万六、六九〇円でこれに対する法人税額は八九七万八、七四〇円であつたにもかかわらず、昭和四一年一月二四日、前記江東東税務署において同署長に対し、所得金額は六一八万七、三八〇円でこれに対する法人税額は一八六万五、五六〇円である旨内容虚偽の確定申告書を提出して、正規の法人税額と申告税額との差額七一一万三、一八〇円については法定の納付期限に納付せず、もつて不正な行為により右行為により右同額の法人税を逋脱した

ものである。

(証拠の標目)

(一)  全般について、

一、登記官宮崎健造作成の登記簿謄本

一、持田日出雄、酒井庄貞各作成の上申書

一、西村総一郎、辻井清の各大蔵事務官に対する質問てん末書

一、大宮山昭三、渡辺康子の各検察官に対する供述調書

一、大蔵事務官岩田守耕作成の脱税額計算書二通

一、押収にかかる総勘定元帳計五冊(昭和四三年押第四四六号の一、二)、元帳計六冊(同号の三、四)、元帳一綴(同号の五)、金銭出納帳計五冊(同号の六ないし九)、手形受払帳計四冊(同号の一〇ないし一三)、銀行勘定帳計五冊(同号の一四ないし一七)、株券台帳五冊(同号の一八)、固定資産台帳八冊(同号の一九)、得意先元帳計一七綴(同号の二〇、二三および二四)、TP売上帳計二綴(同号の二一、二二)、売掛帳三綴(同号の二五)、仕入元帳計五綴(同号の二六、二七および二八)、売掛帳一綴(同号の二九)、請求複写簿二冊(同号の三一)、請求書一袋(同号の三三)、手形記録メモ一袋(同号の四九)、破棄振替伝票等一袋(同号の五〇)、東都化成株決算書等一袋(同号の五一)並びに法人税額確定申告書三綴(同号の七五、七六および七七)

一、被告東都化成株式会社代表者手塚藤兵衛作成の上申書四通

一、被告人手塚藤兵衛の大蔵事務官に対する質問てん末書八通並びに検察官に対する供述調書三通

一、被告人手塚藤兵衛の当公判廷における供述

(二)  別紙一および二の修正貸借対照表の各勘定科目のうち

(1)  普通預金、通知預金、定期預金および定期賃金について

一、大蔵事務官岩田守耕作成の銀行調査書五通(記銀第三三、三四、三七、四〇、四三号)並びに預金調査書

(2)  積立金について

一 、大蔵事務官岩田守耕作成の預金調査書

(3)  売掛金および受取手形について

一、大蔵事務官岩田守耕作成の売上入金、売掛金、受取手形等調査書

(4)  有価証券について

一、押収にかかる売付報告書一袋(前同号の四七)および有価証券売買証明書一袋(同号の四八)

(5)  貸付金および前受割引料について

一、大蔵事務官岩田守耕作成の簿外貸付金、未収利息等調査書

(6)  不渡手形について

一、押収にかかる約束手形一四通(前同号の六四)

(7)  仮払金について

一、高塚学作成の上申書

一、押収にかかる出金伝票、振替伝票一綴(前同号の三〇)

(8)  未収利息について

一、大蔵事務官岩田守耕作成の簿外貸付金、未収利息等調査書

(9)  役員賞与について

一、小野通久、鈴木徳松の各検察官に対する供述調書

一、東都化成株式会社取締役田山光夫作成の上申書

一、押収にかかる賞与明細表二葉(前同号の四六)

(10)  期末棚卸材料について

一、中島健作成の上申書並びに同人の検察官に対する供述調書

(11)  土地および建物について

一、富士興産株式会社代表者佐々木久人作成の上申書

一、押収にかかる出金伝票、振替伝票一綴(前同号の三〇)

(12)  工具器具備品について

一、江東東税務署長五十嵐文男作成の証明書(法人税決議書写に関する分)のうち「固定資産の減価償却額の計算」の部分

(13)  家屋賃借敷金について

一、永田定吉作成の取引内容照会に対する回答書

一、東栄工業株式会社代表者隈元信次作成の上申書

(14)  出資金および長期借入金について

一、大蔵事務官岩田守耕作成の銀行調査書一通(記録第三三号)

(15)  短期借入金および未払利息について

一、大蔵事務官岩田守耕作成の簿外借入金、末払利息、公表帳簿の架空借入金調査書

一、城北塗装磯部繁雄作成の取引内容照会に対する回答書

(16)  価格変動準備金および貸倒引当金について

一、江東東税署長嵐文男作成の青色申告書提出承認の取消に関する証明書

(17)  未納事業税について

一、江東東税務署長五十嵐文男作成の法人税決議に関する証明書

(法令の適用)

被告人手塚藤兵衛の判示各所為中、第一の事実は昭和四〇年法律第三四号法人税法附則第一九条により、その改正前の法人税法第四八条第一項に、第二の事実は昭和四〇年法律第三四号法人税法第一五九条第一項に各該当するところ、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから、同法第四七条本文、第一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をなし、その刑期範囲内において同被告人を懲役四月に処し、なお諸般の情状を考慮し、刑法第二五条第一項を適用して本裁判確定の日から二年間、右刑の執行を猶予する。

被告東都化成株式会社については、その代表者たる被告人手塚藤兵衛が同会社の業務に関して前示違反行為をしたものであるから、判示第一の事実については昭和四〇年法律第三四号法人税法附則第一九条により、その改正前の法人税法第五一条第一項に則り同法第四八条第一項の罰金刑を、また第二の事実については昭和四〇年法律第三四号法人税法第一六四条第一項に則り同法第一五九条第一項の罰金刑を科すべく、しかして右各違反行為は刑法第四五条前段の併合罪であるから、同法第四八条第二項によりその合算額の範囲内において処断することとし、よつて同被告会社を罰金四〇〇万円に処する。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 近藤暁)

別紙一

修正貸借対照表

東都化成株式会社

昭和39年11月30日

<省略>

別紙二

修正貸借対照表

東都化成株式会社

昭和40年11月30日

<省略>

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